続 先端科学・社会・心 加藤諦三

早稲田大学にて講演を聞いて来ました。
加藤諦三先生の講演はこれで2回目で、前回は先生の早稲田大学最終講義を大隅講堂で聞いた時だからかれこれ1年ぶりです。
今日は理工学部キャンパス内の教室だったので先生が近かった。
先生のお話は時々語尾が中途半端になるので想像力をフルに発揮しながら聞かないとよくわからなかったりする。
今日は「先端科学・社会・心」だった。「本来は若手研究者対象ですが今回は特別です」という前置きがあったので居心地が少し悪くなったけどまあいいや。
さて、たしかアメリカでの統計?によると、半世紀に渡り人々は幸せだと感じていない(Worse 51%)という結果をもとに
「科学の発展は人々の幸せに貢献していない」という話からスタートだった。(高学歴になるほど悪くなったが多いとい結果)

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これだけ世の中が便利で快適になったのに「どうして人々は自分自身の存在に対する基本的不安を持っているのか?」って、快適さやお金やなんかでは幸せは買えない!っていう当たり前のような話なんですが、先生の講演となるとその裏に何かあるかも!と思って聞き入ってしまいますね。
「何を得て何を失ったのか」あたりで「非社会性」という言葉が出てきて「当たり前の事(暗黙の了解)が理解出来ない」人が勝ち組として居る。と。「非常識」と何が違うのか私にはちょっとまだわからない。

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最終的に私が受け取ったメッセージは「科学と心という相反するものは二つとも有ってはじめて最大の効果がうまれる」かな。
なんか文字にするとむつかしいな。感覚としてはあるんだけどもうちょっと考えてみよう。
最後に「若手研究者へ向けて、成熟している人は挫折に強い。やり続ける事です。浮き沈みはあるけどやり続けること」というメッセージもありました。

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講義のあとディスカッションの時間があったのですが、場にそぐわない質問があったりしてげんなりしました。それもあって最後の盛り上がりに欠けた感じ。でもそれこそが「相反するものは二つとも有ってはじめて」なのかな。。。

オバマ大統領就任演説に触れて、先生は「資本主義で腐った心から建国時の精神に戻ろう」というメッセージを受け取ったとの事。[return]を何度か使っていたとの話でしたが今調べると[What is demanded then is a return to these truths]この部分の事かな。1回しかでてこないけど。
それから、大学の教養課程(今では崩壊?)では"それ"を学ぶべきだ、昔はあったと。"それ"を聞き逃したか明確に言わなかったよ。
これらに関連してディスカッションで質問者が「具体的に日本における今後の教育システムを明治時代、例えば教育勅語 に戻せとの事ですか」等と質問していましたが、それは違うよね。
別の質問者は「人間は崇高ではない!何故なら現在でもガザ攻撃など戦争があってもほとんどのひとは無関心だ。戦争を防ぐにはどうすればいいのか」といった質問や「アメリカの建国は略奪など戦争の連続である。その精神ですか」等の趣旨の事を話していましたがこれも違う。なんでこんな質問になるのか。

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また技術と心の話題に触れて「テクノロジー」はギリシャ時代、日常の道具と芸術作品どれも同じ言葉「テクノ」を使っていたとのこと。で、今、MITでは「技術とぬくもり」が掲げられている趣旨の話をしていましたが、いまいちピンとこなかったので調べてみた。

私は宮沢賢治の「永訣の朝」という詩が学生時代から大好きだったんですが、その肉筆原稿を初めて見ました。私が読んでいた文庫の中で、「永訣の朝」は等間隔の9ポイントの活字で表現されていました。ところが肉筆原稿は、書いては直し、消しては書き、が繰り返されていた。それは、彼の苦悩を静かに物語っていました。インクの軌跡を見つめていると、ペンを握る彼の太い指、ごつごつした手が見えてきました。しみだらけの原稿用紙には、彼の体の痕跡や苦悩のプロセスが塗り込められていました。

 こういう迫力が、標準化・電子化されたテキスト・コードではまったく伝わってこないんです。デジタルの世界は乾いていると思いました。「どれだけ情報を削ぎ落とし、圧縮できるか」という技術効率至上の考えが、「人間的なぬくもりや感動を伝える情報の中身は何なのか」という本質的議論に優先していた。デジタルの世界に欠けているもの。それが今の研究の思想につながっていったんです。

http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000789

なるほど。人間的なぬくもり.....

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その他

リンカーンの言葉「たいていの人は自分が決心した程度だけ幸福になれる」がよかった。なるほど。まずは決心しなきゃね〜

<第7回特別講演会>
【演題】「続 先端科学・社会・心」
【講演者】加藤諦三 氏 (作家・早稲田大学名誉教授・ハーバード大学ライシャワー研究所准研究員)
【主催】早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構
【共催】グローバルCOE「実践的化学知」

http://www.waseda.jp/scoe/index.html